表紙一部切れ家畜小屋
【本の内容】※冒頭の引用です。
「上流の屠殺場の排水管から間断なく流れこむおびただしい家畜の血で粘液状に汚染され、紅い血と黄色の脂肪で縞模様にくねる川に沿って、五郎はでがけの妻との口論のたあばかりではなく、慢性的にうちひしがれた姿勢でのろのろと歩いた。かつては沼沢地だったこの一帯のだぶついた地表は、五郎の緩慢に動く足の底にからみつき、腐敗した食物のようにねばっこい糸をひくように思われた。彼が上流の屠殺場に勤務して、日をかさね月をかぞえ十三年間……」
粘着質の異様な文体で書かれた池田得太郎の怪作『家畜小屋』を出品します。
【本の状態】
カバー、帯付き
表紙一部切れ。
経年を考慮すると状態は並程度かと思います。
表紙にビニールカバーを付属しております。
表紙一部切れ家畜小屋